木下昌彦神戸大学大学院法学研究科教授

2026年7月14日・第221回国会 参議院 内閣委員会 第19号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 50 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 95 発言)

私も、国旗については、本法案ができることによって本当に国旗への愛着が高まるのかどうかということについてはやはり疑問があります。まさに、仮に、立法事実がないということは、本法案のようなものがなくても人々は国旗に愛着を持つ、我々の国旗だということで認識を持っていたということになります。

これに対して、私が本当に懸念点があるのが、まさに、本法案ができることによって国旗に対する否定的なイメージがまた一つ加わってしまうのではないかと。日本は、戦後、平和主義というふうにして発展、進歩してきましたけれども、そこで積み重ねてきたものをまた一から、いろいろな問題を抱えながら進めていかなければいけないのではないか。そういう意味では、本当に、国旗をむしろ愛するという立場からすれば、本法案は逆効果はあるということを思います。

また、分断という観点からしますと、まさに本法案が提出されていること時点で、こと自体が国民の間に分断を生んでいるのではないかと思います。本法案ができる、提出される以前は、ほとんど、国旗損壊罪を設けるかどうかなんていう議論は、国民の間にはほとんどなかったというふうに思っております。まさに、本法案が出てきてから、国民の間で、国旗損壊罪には反対か賛成か、あるいはおまえは国旗を愛するのか愛しないのかというような議論が出てきているということがあります。

また、このように深刻な国民の間に分断を生む、生みかねない法律ですので、やはり通常の刑法改正のように、法務省の法制審議会に議論を掛けて、そうすれば、様々な専門家より、それぞれの各国の、法制審議会、普通、立法するときには幅広く、もちろん刑法の専門家も含めてですけれども、各国の法制度を調べた上で、さらに法体系的な整合性も踏まえて、さらに内閣法制局の審査も経てかなり完璧なものができ上がるというふうに思いますけれども、今回についてはそれを全て吹っ飛ばしているということになりますので、必然的に問題が生じてくるのではないかなと思います。

実際、我が国では違憲判決が少ない理由の一つとして、やはり内閣法制局を中心とする慎重な審議がなされてきたからだという説明がなされることが多いのですけれども、まさに今回はそのような手続を飛ばしているということも踏まえまして、違憲性の可能性が高まっているということも言えると思います。

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