諸富徹京都大学公共政策大学院院長

2026年5月20日・第221回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第4号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 69 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 94 発言)

ありがとうございます。

資本という考え方を使って説明するんですけれども、社会の基盤と言ってもいいと思うんですけれども、資本というと生産のために使う資本のことがぱっと思い浮かぶんですけど、私たちの社会を持続的に移行させるために基盤となるものがすごく大事になってくると思います。

その資本として最初に高度成長期に注目されたのはハードなインフラで、社会資本というふうに呼ばれるんですけれども、でも、だんだんと後の時代になってくるにつれて自然資本という考え方も出てきて、自然資本、自然資源の豊かさが非常に大事だという認識が高まってきて、それは現在気候変動とかいろんな問題でも明らかになってきているんですね。

加えて、コミュニティーの重要性という点から、人と人間関係ですね。人のことは経済学では人的資本と呼ばれるように、日本でも最近、岸田政権以降、人への投資という言葉がすごく言われるようになってきたのは、人間というものが、資本と呼んでいいかどうかはいろいろ議論のあるところですけれども、とにかく人にお金を掛けて人の力を伸ばすことが社会のプラスになることは間違いないと思います。

注目されてこなかったのは人間関係の厚みという意味で、英語ではソーシャルキャピタルと呼ばれてきたんですけれども、パットナムというハーバード大学の先生が最初にそれを概念化してイタリアで実証したことで有名になったんですけれども、様々な社会的な団体、集団、グループ、NGO、NPO、こういった社会の様々な活動が重層的に折り重なっている地域では社会をお互いに支え合う力が強くて、そうでない場合よりも社会的に発展する、あるいは持続的であるという結果をパットナム先生が出されたんですね。それで有名になったんですけれども。

これはなかなか測れないので、定量的にはですね、難しいんですけれども、社会的なネットワークの厚みという定義してもいいんですけれども、それをやっぱり活発にしていく、あるいは支えていく、高齢者同士のネットワークでもいいですし、地域住民同士のネットワークでもいいですし、そういうものが途切れないように支えていく、孤立化していくことを防ぐということが、ソーシャルキャピタル、社会関係資本の厚みも支えることにつながるので、そういったことができないかなというふうに思っています。

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