窪田哲也 (公明党)

2026年6月10日・第221回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第5号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 9 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 23 発言)

公明党の窪田哲也です。

専門家九人の御意見を踏まえ、一、現下の国際情勢をどう捉えるか、二、日本の置かれた状況、三、果たすべき役割について述べます。

世界は今、分断とポピュリズムの中にあります。

水島治郎氏は、欧州の現状について、二十一世紀型政治の溶解と表現されました。背景として、冷戦の終えんと既存の対立軸の変容、移民、難民、気候変動、経済のグローバル化の是非など新しい対立軸、既成政党を支える組織、団体の弱体化を挙げます。

二十一世紀型政治の溶解、安定の方程式の崩壊、この安定の方程式の崩壊というのは神保謙氏の表現でございます。このように表現される世界の分水嶺において、現在の米国の振る舞いを我々はどう受け止めればいいのか。神保氏は、ギリシャ神話のアトラスという世界を抱える神がいるが、そのように米国が世界を支え続ける時代は終わったと米国の心境を代弁しました。

岩間陽子氏も、今の米国の心境を不満感という言葉で表現しています。冷戦終結によってシステムの維持コストが米国に集中し、負担に対する不満感が出てきていると。トランプ政権が高関税率を脅しのカードとして使い、米国への巨額の直接投資や米国製品の購入を迫るディールは、まさに不満感の表れと言えるでしょう。

そうした米国に我が国はどう向き合うべきか。再び神保氏の言葉を借りれば、どういう形で同盟の負担分担をしていくのか、どのように価値基準を共有化していくのかということについての作業は非常に重要なポイントと。

キーワードは価値基準です。

田中均氏は、なぜ日米同盟関係なのか、価値観の共有があった、自由、民主主義で、行動するときに価値観を基準にやっているという気持ちもあった、米国にもそういう気持ちがあった、今全く違うと強調します。

田中氏はさらに、米国と一緒にいかにして中国を牽制するかが外交の主軸となっている現状について、九割の人が中国嫌いだから、いかにそれに乗っかった政治をするかと思っているかもしれないが、本当にそれでいいのか、制裁の打ち合いをするような関係は外交の怠慢、政治の怠慢だと厳しく指摘しました。

宮本雄二氏も、民間組織の交流さえ途絶えた今の日中関係について、極めて異常とし、平和で安定した国際関係が経済発展の前提と期待します。

ポピュリズムの台頭と米国の不満感、日中関係の閉塞状況という中で、我が国が歩むべき道はどこにあるのか。

岩間氏は、軍事をやりつつ対話も重視すべき、中産階級を犠牲にしない社会モデルを提示し、アジアと共有すべきと提案しています。また、将来的な東アジアにおける軍備管理・軍縮、信頼醸成のための準備を進め、アジア版OSCEの提案も出ている地域の緊張緩和外交の推進などの知的努力をと訴えています。

アジア版OSCEは、昨年五月に公明党が発表した平和創出ビジョンでも提起しました。対立する当事国が集う常設の対話枠組み、北東アジア安全保障対話・協力機構構想です。これまで公明党は、国会質疑で枠組み構築を政府に求めてきたほか、昨年一月の日中与党交流協議会、当時は自公です、や同年四月の公明党訪中団でも中国側に同構想を伝え、意見交換を進めています。災害対策など共通課題をテーマに議論を始め、将来的に国際機関への発展を目指します。

私見ながら、米国の本質と変質を見極め、日米関係を再設計していく作業も必要だと考えます。

世界は今、核の脅威や気候変動、人知を超える新興技術の台頭といった複合的な危機に直面しています。我が国周辺の安全保障環境は厳しさを増し、かつ、ルールに基づく国際秩序が揺らいでいます。

そうした中で、我が党は、分断と対立をあおることで自らのエネルギーを得ようとする政治とは一線を画し、国民を包摂する中道政治を目指す基本路線を打ち出しました。引き続き、真摯な姿勢で世界の平和と安定に向けた日本の役割を追求してまいります。

ありがとうございました。

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