小沢雅仁 (立憲民主党)

2025年4月16日・第217回国会 参議院 憲法審査会 第2号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 42 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 58 発言)

立憲民主・社民・無所属の小沢雅仁です。

私から、緊急集会と二院制の関係について意見を申し上げます。

この間の任期延長改憲の議論では、緊急集会は両院同時開催の原則の例外であるといった理由によって、七十日間限定説や条約承認等も許されないなどの主張がなされています。しかし、こうした緊急集会に関する形式的かつ単純な二院制の例外説は、憲法制定議会における金森徳次郎担当大臣の趣旨説明に根本的に反するものであります。

金森大臣は、昭和二十一年九月二十日に二院制と緊急集会の考え方について詳細な説明を行っています。

まず、専制の排除、慎重審議の確保、国民のための世論の実現という三つの目的のために二院制を採用した、すなわち参議院を創設したと述べています。

そして、議院内閣政治を実現するために、二院不平等の原理を採用した上で、必要な限度で十分に両院が活動できるように組み立てたのが二院制の根本的な考え方と述べ、衆参両院の権限の幅についてはできるだけ平等にし、一方で、権限の効果については、予算の議決、条約の批准、総理指名において不平等と、すなわち衆議院の優越を設けたと説明しています。

そして、こうした二院不平等の原理による二院制から必然的に導かれる最重要の点を憲法に明記したとして、四十三条の「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」との規定、四十四条の議員の資格要件、四十五条及び四十六条の衆参議員の任期などを示しています。

そして、このようにして大体において両院の組織及び働きを考えていったところ、さらに今度は、参議院を活用する、すなわち参議院ができたことによって更に一つの利益を考えようという見地から緊急集会が生まれたと述べています。

すなわち、衆議院には解散や任期満了による全体の改選期があるところ、どうしても国会を何どきでも開ける態勢を備えておかなければならない、国会制度の趣旨を徹底して実行するために何らかの方法がないかとの論究の結果として、参議院がある、この参議院は国民代表である、ゆえに経過的かつ一時的な効力として参議院の議決を国会の代わりとする制度によって、衆議院不在の不便を補い、かつ合理的な途ができるのではないかと緊急集会を考えたとの旨を述べています。そして、以上をもって新憲法における二院制の大体の説明になるとしています。

こうした金森大臣の説明から、以下のことが帰結できます。

まず、緊急集会は、衆議院の解散や任期満了によって両院同時活動の原理が論理必然的に維持できない場合がある我が国の二院制の不便を補う、すなわち二院制を補完するための制度であり、二院制の本旨の外にある例外制度などではないということです。

また、それは、二院不平等の原理による二院制という国会制度の趣旨を徹底して実行するための制度であり、条約承認などの衆議院の優越事項を緊急集会の権能を制限する根拠することは本末転倒の主張であるということです。

そして、緊急集会が二院制国会の代行機関たる正統性は、万年議会の参議院議員が国民代表であるのであり、全国民を代表する選挙された議員ではない任期延長議員に七十日を過ぎた後の国会機能を担わせることは、二院制国会がよって立つ国民代表制の原理に反することです。

以上のような憲法制定時の二院制と緊急集会の制度設計に基づく議論が衆議院憲法審では全くなされず、形式的かつ単純な二院制の例外説が主張されていることは誠に遺憾であります。

それどころか、三月二十七日の衆議院憲法審では、上述の金森大臣の説明の中の解散後の七十日は国会を開けない状況になるとの箇所を七十日間限定説の根拠とする意見がありましたが、これは、二院制の補完機能という緊急集会の根本趣旨に反する典型的な切取り解釈と強く指摘したいと思います。

二院制の一翼である私たちの参議院は、緊急集会の運用を通じて、二院制の国会制度の趣旨そのものを徹底して実行するという崇高な使命を負っていることを先輩、同僚議員の皆様に呼びかけて、私の意見といたします。

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