原田祐平会計検査院長

2025年4月7日・第217回国会 参議院 決算委員会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 316 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 318 発言)

会計検査院は、国会法第百五条の規定に基づき令和五年六月十二日付けで参議院議長から会計検査及びその結果の報告の要請がありました「新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた旅行需要等の喚起を図るために実施された振興策」につきまして、国土交通省を対象に検査を行い、会計検査院法第三十条の三の規定に基づき七年一月二十九日にその結果の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。

検査しましたところ、県民割支援及び全国旅行支援の予算の執行状況等について、観光庁は都道府県に通知した交付限度額の算定方法等に係る資料を保存していないとしており、その妥当性を事後的に検証することができませんでした。

また、貸切りバスを利用する団体旅行のために設定された団体旅行枠に七百二十四億円の残額が生じていましたが、これは、他の旅行も含めた統計値に基づいて枠を設定していたことが要因の一つであり、全ての旅行に利用可能な枠への振替が認められ得ることを伝えていなかったことが影響していたと思料されました。

県民割支援及び全国旅行支援の実施状況等について、観光庁が事業の実施途中に電子クーポンによることを原則化したことに伴って既存の紙クーポンが余剰となっている状況や、旅行者の居住地等を確認できる根拠資料等を保存していない状況が見受けられました。

検査の結果を踏まえた会計検査院の所見といたしましては、予算執行に関連する重要な資料を適切に保存し、交付限度額の妥当性について十分に説明することができるようにすること、予算枠を設定する際には合理的な基準により定めるとともに、その取扱いを周知徹底すること、事業の実施方針を途中で変更する際には現状を把握するとともに、弾力的な運用ができるよう十分検討を行うこと、事後的に事業の適正性を十分に検証することができるようにすることなどの点に留意することが必要であると考えております。

これをもって報告書の概要の説明を終わります。

次に、会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、令和七年一月十五日に「租税特別措置(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度)における教育訓練費に係る上乗せ税額控除の適用状況、検証状況等について」の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。

検査しましたところ、平成三十事業年度から令和三事業年度までに電子申告を行った法人で、給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度における教育訓練費に係る上乗せ税額控除を適用していた延べ一万二千八百六十一法人のうち、七六・二%に当たる九千八百十二法人は教育訓練費増加額を上回る税額控除を受けていました。また、延べ九千九百七十法人を対象にして、教育訓練費が増加した場合の給与等支給増加額を算出し、これに対応する上乗せ税額控除の試算額を実際の上乗せ税額控除の額と比較したところ、実際の上乗せ税額控除の額の合計額は上乗せ税額控除の試算額の合計額と比べて百五十七億余円大きくなっていました。

これらのことから、適用要件となっている事項と税額控除額の計算基礎となっている事項が異なる教育訓練費に係る上乗せ税額控除の仕組みは、政策目的である給与等の増加を促すために税負担の軽減を行う措置として適切なものとなっていないおそれがあると認められました。さらに、経済産業省等が作成した事前評価書を確認したところ、教育訓練費に係る上乗せ税額控除の直接的効果は把握されておらず、税収減を是認するような効果について適切に説明されているとは認められませんでした。また、税制改正要望書には検証可能な数値目標及び要望措置の妥当性が記載されていませんでした。

検査の状況を踏まえた会計検査院の所見といたしましては、教育訓練費に係る上乗せ税額控除について、経済産業省等及び財務省においてその効果及び要望措置の妥当性を検証して、当該検証結果を基に経済産業省等において見直しを検討することが重要であると考えております。

会計検査院としては、今後とも、給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度の適用状況、経済産業省等及び財務省による検証状況等について、引き続き注視していくこととしております。

これをもって報告書の概要の説明を終わります。

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