山本太郎 (れいわ新選組)

2025年3月24日・第217回国会 参議院 環境委員会 第4号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 169 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 195 発言)

検討行われていない。

百ミリシーベルト以下の被曝ならがん発症が増えることはないという評価は、そもそも原発労働者の健康調査から導き出された基準ではないんですよね。八十年前の広島、長崎への原爆投下で被爆した人々に対する調査を参考にした基準です。

この原爆被爆者に対する健康調査、それ自体について、そして、八十年も前の原爆被爆者の調査を全く異なる条件下で被曝する原発労働者などに当てはめることについて多くの専門家から問題点が指摘されてきたことは、皆さん御存じのとおりです。

資料七。例えば、深川市立病院の松崎医師は、全国保険医新聞の論考で次のように指摘されています。

原爆被爆データは、二つの理由で放射線被曝の健康リスクを相当小さく見積もっている。

一つ目、一九四五年の原爆投下から五年たった時点で生き残っておられた被爆者を対象として追跡が始められたこと。つまり、放射線被曝に強い集団を選び出した調査となった。原爆被爆者は、五年後以降に、百ミリシーベルト超えの被爆した人々にがんが増えたというが、そもそも調査開始が被爆から五年後で、それ以前に発症した人、亡くなった人は考慮されていない。被曝によるがんの潜伏期間が五年ということではない。

松崎医師の指摘、二つ目。このような調査は、被曝のある集団と被曝ゼロの集団を比べるのが常識だが、被曝ゼロ集団の被曝がゼロではなかったこと。これは、爆心から二・五キロ以遠の被爆者を対照集団と設定したのが原因。この集団は外部被爆だけでも数ミリシーベルトの被爆があった。

百ミリシーベルトを超える被爆した被爆者に相対的にがんが増えたというとき、全く被爆していない人と比べてということではない。適正な調査とは言えず、これを参考に、いまだに五年後、百ミリシーベルトという基準をかたくなに見直さないのは、厚労省、これ厚労行政の怠慢なんじゃないですか。

これまでも、国内外の様々な機関による調査で百ミリシーベルト以下の被曝でもがんなどの疾病が統計的に有意に増えているということが示されている。しかし、厚労省はかたくなにこれらの知見を取り入れず、被曝労災認定基準の見直しをしてこなかった。

資料八。最近、国際的な研究調査で、百ミリシーベルト以下でもがんが増加することを示したものとしては、国際核施設労働者調査、INWORKSが注目されている。INWORKSは、アメリカ、イギリス、フランスの三十万人以上の原発労働者などを調査対象集団としているため、高精度の疫学データ解析が可能と評価されている。

資料九、十。近年では、二〇二三年調査で、主に固形がんの死亡率に関する調査結果を発表。調査対象は福島第一原発のような事故原発ではなく、主に通常の原発で作業に従事する労働者など。対象者の平均蓄積被曝線量も、フランス、十七・八ミリシーベルト、イギリス、二十二・七五ミリシーベルト、米国、二十・一ミリシーベルトと、日本の労災基準、百ミリシーベルトよりもずっと低い。それでも、これら原発労働者の中に被曝影響での固形がん発症が有意に増えているというのが調査結果。

資料十一、十二。二〇二三年INWORKS報告論文によれば、低線量域に限定した解析結果で、百ミリグレイ未満でも、さらに五十ミリグレイ未満の低線量域に限って解析しても、固形がん死について統計的に有意なリスク増加が認められている。

厚労副大臣、このINWORKS、イギリスでは政府機関、国防省が協力し、アメリカでもエネルギー省傘下の機関や研究所が協力、フランスではIRSN、放射線防護原子力安全研究所など政府系の公的な専門機関が行った大規模な疫学調査の結果ですけれども、五十ミリシーベルト未満の低線量域でも固形がんの死亡が統計的に有意に増えていることを示しています。

八十年前の原爆被爆者の偏ったデータに基づく十年以上も前の基準を直ちに見直すべきではないかと思いますが、副大臣、いかがお考えですか。

前後のやりとり

165の発言を見る

173の発言を見る