吉田雅之法務省大臣官房審議官

2025年4月24日・第217回国会 参議院 外交防衛委員会 第10号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 30 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 166 発言)

死者に対する性的行為が死者を冒涜するものであり、御遺族や国民一般の感情を害し得るという認識は、法務当局としても有しております。

その上で、死者に対する性的行為を刑罰の対象とすることについて検討いたしますと、様々な検討、あっ、課題が見出されるところでございます。例えば、性犯罪の一つである不同意わいせつ罪は、一般に、失礼しました、性犯罪は一般に性的自由又は性的自己決定権を保護法益とすると解されております。この性的自己決定権というのは、誰とどのような性的行為をするかを決定する権利ということでございます。ただ、この死者ということになりますと、自己決定をすることができないということになりますので、それでは保護法益をどのように具体的に捉えていくかということが問題となってまいります。

死体損壊罪というものが刑法にございますけれども、これは死者に対する社会風俗としての宗教的感情を保護法益とするというふうにされておりまして、これと同じように捉えるとしますと、今度は性的意味合いを持つものに限られないということになってまいりまして、その辺りをどのように考えていくかということが一つ大きな課題となると考えております。

また、そうした保護法益を前提として、例えば御遺体の状況によって行為の持つ意味の評価が異なり得るということも踏まえつつ、処罰すべき行為を的確に捕捉し得るのかということも問題となってまいります。

やや込み入ったことを申し上げますが、例えば一般に女性の胸部、胸を触る行為は、その女性が生きていらっしゃる場合には通常不同意わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たり得ると考えられますけれども、その女性が死亡している場合には、例えば刑事裁判事件の実態を踏まえて考えますと、その死体がばらばらに切断されているとか高度に腐敗しているというような場合もあり得るところでございます。そうした場合も含めて、死体の胸部、例えば胴体部分のみとなっている死体の胸部を触る行為を同様に、性的な意味合いがあると、わいせつ行為に当たるというふうに評価できるのかといったことも検討の対象となってくるというふうに考えております。

こうしたことを踏まえて考えますと、やはりこの問題については、課題も多いことから、引き続き十分な検討を要するものと考えているところでございます。

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