渡辺努東京大学大学院経済学研究科教授

2025年2月25日・第217回国会 衆議院 予算委員会公聴会 第1号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 119 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 243 発言)

先生が先ほどから御質問の、なぜ実質賃金が上がっていかないのか、賃金の方が物価の後追いになっている理由は何かということだと思いますけれども、私はこうだというふうに思います。

基本的に賃金は大きな流れは春闘で決まるわけですけれども、全てではないですけれども、やはり春闘が非常に大きな影響力を持つわけです。その春闘はどうやって決めているかというと、過年度CPIと言いますけれども、過去の、一年度前の、例えば今年の春闘であれば二四年度のCPIがどうなっていたか、物価がどうなっていたかというのを踏まえて二五年の、今の三月の春闘というのが闘われている。過ぎ去ったCPIを見て今年のあるいは先々の賃金が決まっているというのが構図であります。ここに先生がおっしゃっているようなことの一つの原因があるかなというふうに思います。

なので、そうではなくて、先々の物価を見て、例えば二五年度、二六年度は物価がこうなりそうだから、だから賃上げはこうしたいとかというこっちの発想に切り替えていけば、後追い関係というものが消えていくんじゃないかというふうに思います。

実際に、連合の中では、過年度CPIという考え方を少し見直した方がいいんじゃないかと。かつては物価も賃金も動きませんでしたので、過年度であろうが何だろうが関係なかったんですけれども、今は結構な、そこをどこを見るかによって影響が出てきますので、もう少し丁寧に、どこの物価を見るのか、どこの物価を賃金のベンチマークにするのかということを議論しようというふうに変わってきているかなというふうに思います。

なので、先生御懸念のようなことはよく分かりますけれども、一つは、そういう過去のしがらみじゃないですけれども、過去のやり方、特にデフレ期のやり方というのが今でも色濃く残ってしまっているので、なかなか後追い的な賃金の上昇というところから抜け出せないんだというふうに思います。

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