自由民主党の三谷英弘です。
自由民主党・無所属の会を代表して、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案について、私も氷河期世代の一員ですので、その思いも込めて、以下、質問させていただきます。(拍手)
まず、被用者保険の適用拡大について伺います。
今回の改正では、賃金要件を撤廃して、いわゆる百六万円の壁を取り除いたほか、企業規模要件も段階的に撤廃することで、これまで国民年金しか加入できていなかった方が厚生年金に加入できるなど、改正のメリットは相当大きなものです。
一方、事業主の側から見れば、この改正は、人材確保に資する側面もありますが、事業者のいわゆる裏負担が大きくなり、今後の賃上げ余力すらなくしかねません。そうならないよう事業主に経済的支援を行うとしても、今度は申請手続など多大な事務負担を負わせることになります。
そのため、被用者保険の適用を拡大するに当たっては、中小企業や小規模事業者の過度な負担にならないよう、適切な形での支援を実施すべきと考えますが、この点、福岡厚生労働大臣の見解を伺います。
次に、在職老齢年金制度の基準額引上げと標準報酬月額の上限の見直しについて伺います。
在職老齢年金制度の基準額引上げは、六十五歳以降も希望に応じて働くことを選択しやすくするものであり、本人の年金の確保に加え、人手不足緩和に資する重要な改正です。
他方、標準報酬月額の上限の見直しは、該当者の現役時の負担は増えますが、負担が増えた分、将来給付も増えますので、メリットも大きなものです。
これらは本来別々の制度ですが、二つ並べたとき、現役世代の負担を増やして高齢者の給付を厚くするといった誤ったメッセージとならないよう、これらが現在と将来、双方の年金受給者にとってメリットの大きな改正であるとの説明が重要です。この点について、福岡厚生労働大臣の説明を求めます。
遺族年金制度の見直しについて伺います。
現行の制度は、いわゆる専業主婦世帯を前提とした制度設計となっているため、共働きが一般化した現状に合わせて変えていくことが求められます。今般の遺族年金制度の見直しの考え方について、福岡厚生労働大臣に伺います。
iDeCoの見直しについても伺います。
高齢期に向けた資産形成を応援するためには、企業年金の推進に加えて、iDeCoをより活用しやすくしていくことが重要です。今般のiDeCoの加入可能年齢の引上げの趣旨について、福岡厚生労働大臣に伺います。
最後に、基礎年金の水準について伺います。
政府は、マクロ経済スライドの早期終了に関する具体的な措置を盛り込んでいない法案を提出いたしました。この点については、既に、必要な改革の先送りである、就職氷河期世代が年金受給世代となるのはそう遠くない時期であることを考えても不適切であるといった批判をいただいています。しかしながら、それでは、単にマクロ経済スライド早期終了のための措置を盛り込めばよかったかというと、そう単純ではありません。
まず、厚生年金の積立金を基礎年金に充当することが、いわゆる厚生年金の流用であり、不適切であるという批判が予想されます。この点、確かに、それまで仕事を行い、社会保険料を支払ってきた方々の中に、一時的とはいえ、受給できる年金が減るという不利益を被る方々が出てくることは事実です。
加えて、厚生年金の積立金を基礎年金に充当する場合、現行制度では、国民年金法第八十五条により、基礎年金に充当したのと同じ金額を新たな国庫負担により基礎年金に加える、すなわち、厚生年金から基礎年金に回せば回すだけ国庫負担が増えていく仕組みになっています。厚労省の試算によれば、これによる新たな国庫負担額は、二〇三〇年代以降徐々に増えていき、二〇五〇年頃には一年で二兆円程度となるようです。
この毎年発生する新たな国庫負担について、国債で賄うなら将来世代に負担を先送りすることになる、税金で賄うならその時点での現役世代の負担を増やすという指摘もあるところであり、この点の財源を明らかにせず、制度を単に進めるのは、無責任との批判を免れません。
このように、この点については、出しても批判、出さなくても批判という、まさにダブルバインド状態です。これが政権与党のつらさといえばそれまでですが、そうも言っていられません。このプラスとマイナスの両面を含めて、できるだけ多くの国民の皆様の御理解をいただきながら丁寧に改革を進めていくべきものと考えていますが、この点についての石破総理大臣のお考えをお聞かせください。
公的年金制度は、老後の生活の柱であり、持続可能な仕組みとすることが不可欠です。ただし、この持続可能性は、制度を守ることではなく、十分な給付を行うことで年金受給者の生活を守ることになければなりませんが、この点について、一層の国民の信用を得られるような更なる取組は不可欠だと考えています。
とすれば、今回の法改正は、あくまで一里塚。氷河期世代の年金水準を確保することは当然ですが、負担と給付のバランスや受給者間の公平性等に鑑みると、専業主婦世帯を前提とする現在の所得代替率算定モデルや第三号被保険者制度そのものを含めて、今後、制度全体を見直す議論も必要になるものと考えています。
そこで、政府は今後の年金制度改革にどのように取り組もうと考えているのか、石破総理大臣のお考えを伺います。
以上、年金制度が国民の皆様から一層信頼される制度になることに加えて、現在の国会は少数与党です、野党の方々からの御理解をもいただけるような真摯な答弁を求めて、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
22
額賀福志郎議長
この際、内閣提出、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣福岡資麿君。
〔国務大臣福岡資麿君登壇〕
この発言のページ
23
福岡資麿(自民)厚生労働大臣
ただいま議題となりました社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
我が国においては、健康寿命が延伸し、単身世帯や共働き世帯が増加するとともに、高齢者や女性の就業の更なる進展や持続的な賃上げの継続が見込まれます。こうした社会経済の変化を踏まえ、年金制度において、ライフスタイル等の多様化を反映し、働き方に中立的な制度を構築するとともに、高齢者の生活の基盤の強化のための所得保障及び再分配機能の強化を行うため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につき…
この発言のページ
24
額賀福志郎議長
ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。三谷英弘君。
〔三谷英弘君登壇〕
この発言のページ
- (上の発言)
25
三谷英弘(自民)
自由民主党の三谷英弘です。
自由民主党・無所属の会を代表して、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案について、私も氷河期世代の一員ですので、その思いも込めて、以下、質問させていただきます。(拍手)
まず、被用者保険の適用拡大について伺います。
今回の改正では、賃金要件を撤廃して、いわゆる百六万円の壁を取り除いたほか、企業規模要件も段階的に撤廃することで、これまで国民年金しか加入できていなかった方が厚生年金に加入できるなど、改正のメリットは相当大きなものです。
一方、事業主の側から見れば、この改正は、人材確保に資する側面もありますが、事業者のいわゆる裏負担が大きくなり、今後の賃上げ余力すらなくしかねません。そうならないよう事業主に経済的支援を行うとしても、今度は申請手続など多大な事務負担を負わせることになります。
そのため、被用者保険の適用を拡大するに当たっては、中小企業や小規模事業者の過度な負担にならないよう、適切な形での支援を実施すべきと考えますが、この点、福岡厚生労働大臣の見解を伺います。
次に、在職老齢年金制度の基準額引上げと標準報酬月額の上限の見直しについて伺います。
在職老齢年金制度の基準額引上げは、六十五歳以降も希望に応じて働くことを選択しやすくするものであり、本人の年金の確保に加え、人手不足緩和に資する重要な改正です。
他方、標準報酬月額の上限の見直しは、該当者の現役時の負担は増えますが、負担が増えた分、将来給付も増えますので、メリットも大きなものです。
これらは本来別々の制度ですが、二つ並べたとき、現役世代の負担を増やして高齢者の給付を厚くするといった誤ったメッセージとならないよう、これらが現在と将来、双方の年金受給者にとってメリットの大きな改正であるとの説明が重要です。この点について、福岡厚生労働大臣の説明を求めます。
遺族年金制度の見直しについて伺います。
現行の制度は、いわゆる専業主婦世帯を前提とした制度設計となっているため、共働きが一般化した現状に合わせて変えていくことが求められます。今般の遺族年金制度の見直しの考え方について、福岡厚生労働大臣に伺います。
iDeCoの見直しについても伺います。
高齢期に向けた資産形成を応援するためには、企業年金の推進に加えて、iDeCoをより活用しやすくしていくことが重要です。今般のiDeCoの加入可能年齢の引上げの趣旨について、福岡厚生労働大臣に伺います。
最後に、基礎年金の水準について伺います。
政府は、マクロ経済スライドの早期終了に関する具体的な措置を盛り込んでいない法案を提出いたしました。この点については、既に、必要な改革の先送りである、就職氷河期世代が年金受給世代となるのはそう遠くない時期であることを考えても不適切であるといった批判をいただいています。しかしながら、それでは、単にマクロ経済スライド早期終了のための措置を盛り込めばよかったかというと、そう単純ではありません。
まず、厚生年金の積立金を基礎年金に充当することが、いわゆる厚生年金の流用であり、不適切であるという批判が予想されます。この点、確かに、それまで仕事を行い、社会保険料を支払ってきた方々の中に、一時的とはいえ、受給できる年金が減るという不利益を被る方々が出てくることは事実です。
加えて、厚生年金の積立金を基礎年金に充当する場合、現行制度では、国民年金法第八十五条により、基礎年金に充当したのと同じ金額を新たな国庫負担により基礎年金に加える、すなわち、厚生年金から基礎年金に回せば回すだけ国庫負担が増えていく仕組みになっています。厚労省の試算によれば、これによる新たな国庫負担額は、二〇三〇年代以降徐々に増えていき、二〇五〇年頃には一年で二兆円程度となるようです。
この毎年発生する新たな国庫負担について、国債で賄うなら将来世代に負担を先送りすることになる、税金で賄うならその時点での現役世代の負担を増やすという指摘もあるところであり、この点の財源を明らかにせず、制度を単に進めるのは、無責任との批判を免れません。
このように、この点については、出しても批判、出さなくても批判という、まさにダブルバインド状態です。これが政権与党のつらさといえばそれまでですが、そうも言っていられません。このプラスとマイナスの両面を含めて、できるだけ多くの国民の皆様の御理解をいただきながら丁寧に改革を進めていくべきものと考えていますが、この点についての石破総理大臣のお考えをお聞かせください。
公的年金制度は、老後の生活の柱であり、持続可能な仕組みとすることが不可欠です。ただし、この持続可能性は、制度を守ることではなく、十分な給付を行うことで年金受給者の生活を守ることになければなりませんが、この点について、一層の国民の信用を得られるような更なる取組は不可欠だと考えています。
とすれば、今回の法改正は、あくまで一里塚。氷河期世代の年金水準を確保することは当然ですが、負担と給付のバランスや受給者間の公平性等に鑑みると、専業主婦世帯を前提とする現在の所得代替率算定モデルや第三号被保険者制度そのものを含めて、今後、制度全体を見直す議論も必要になるものと考えています。
そこで、政府は今後の年金制度改革にどのように取り組もうと考えているのか、石破総理大臣のお考えを伺います。
以上、年金制度が国民の皆様から一層信頼される制度になることに加えて、現在の国会は少数与党です、野党の方々からの御理解をもいただけるような真摯な答弁を求めて、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
26
石破茂(自民)内閣総理大臣
三谷英弘議員の御質問にお答えいたします。
マクロ経済スライドを早期終了させる措置についてのお尋ねをいただきました。
基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置につきましては、全国民共通の基礎年金について、将来にわたって一定の給付水準を確保する重要性がある一方で、保険料、拠出金、積立金の関係が分かりづらいことなどから、国民の理解が得られるのかという賛成、慎重両方の御意見があり、社会保障の専門家の間でも意見が分かれているところであります。
こうしたことを踏まえまして、今回の法案では、その具体的な仕組みについては規定しないことといたしましたが、今…
この発言のページ
27
福岡資麿(自民)厚生労働大臣
三谷英弘議員の御質問にお答えいたします。
被用者保険の適用拡大に係る中小企業への支援についてお尋ねがありました。
今回の被用者保険の適用拡大では、今まで以上に小規模の企業を対象とすることから、企業経営に与える影響であったり事務負担の増加等も踏まえ、施行までの十分な準備期間の確保や段階的な施行により、必要な配慮を行うこととしております。
その上で、様々な助成措置等を活用できるよう、支援体制を整備することなどにより、円滑に施行できる環境を整備してまいります。
在職老齢年金制度と標準報酬月額の上限見直しについてお尋ねがありました。
今回の法案は、働く…
この発言のページ
28
額賀福志郎議長
井坂信彦君。
〔井坂信彦君登壇〕
この発言のページ