ありがとうございます。
所得代替率は、結局、年金制度の財政状況を測る指標であって、年金受給者の生活状況を表す指標としては十分ではないと思っております。また、所得代替率の土台となっている高齢者世帯のモデルは、サラリーマンと専業主婦が四十年間連れ添っているという内容で、標準的なモデルとは既に言い難い状況になっているかと思います。
生活者の視点から見れば、私たちは幾ら年金が必ずもらえるのか、自分で幾ら積み立てておかなければいけないのかという、老後の設計のベースラインとなる公的年金からの約束、これがない状況だと思っています。具体的に目指しているベースラインの年金水準なしに、高い低いという評価をし、制度改正を行うことができるのか、極めて疑問に思っています。
給付額が将来的に全員高くなるように改正すれば、少なくとも今よりよくなるだろうというのは、とても乱暴だと思います。制度の裏には、働いている人たちの負担、企業の負担、高齢者の方々も含めて、消費税なども財源とした国庫の負担、本当に多くの負担があります。だから、給付額が高くなればなるほどいいというものではないのがこの制度ではないでしょうか。この点は強く申し上げたいと思います。
一方、低過ぎて生活の安定が阻害される人たちが多く出てはいけません。私は、生活扶助の基準額は、一つの参考にはなると思っています。昨日の参考人質疑でも、生活保護費も含めた社会保障給付費全体での判断が必要ではないかといった御指摘もございました。生活の安定を損なわないボトムラインの給付水準という観点から、制度を評価する指標を検討いただきたいと思います。
今回の制度改正でできることは早急に実行しつつも、幾つかの年金制度の取り得る改正のシナリオごとの分析、給付される年金と生活コストとの比較、そして必要になり得る生活保護の国家歳出の見立ても含め、既存の年金制度の枠組みにとどまらない分析に早急に着手していただきたいと思います。先ほど副大臣からも御言及いただきましたが、財政検証では新たな取組もできると承知しています。どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、冒頭申し上げた二つ目、負担が過度なものになっていないのかについて議論させていただければと思います。
年金制度は、適切な水準の給付がなされているのかということと、過度な負担になっていないかということ、この二つを同時に実現するところに難しさがあると思っています。
先週、実質賃金の発表があり、本委員会でも話題となっておりましたが、三年連続のマイナスとなってしまいました。実質賃金は伸びていない、過去の委員会で私自身の質疑でも確認させていただいておりますが、若い方々の経済状況は大変に厳しいものがあります。そんな中で、日本経済を支えてきた大企業における整理解雇のニュースも出てまいりました。先行きの不透明さに拍車をかけています。
目下、こうした経済状況の中、負担を増やす改正が適切であるのか、給付の増加をすることが適切なのか。適用拡大については多くの方々が議論してくださっているので、今日は、まずは、標準報酬月額の引上げ、そして在職老齢年金の見直しから確認させていただきたいと思います。
まずは、標準報酬月額の引上げについてです。
納めるべき保険料を決める基準、標準報酬月額、現在、この標準報酬月額の上限は六十五万円となっています。すなわち、月に七十万円稼いだとしても、百万円稼いだとしても、支払う保険料は同じになっているということです。今回、この上限額を六十五万円から七十五万円に段階的に引き上げ、負担いただく保険料を増やす案になっております。
先ほど、実質賃金の状況についても言及させていただきました。現下の経済状況を踏まえ、保険料を引き上げるとしたことは適切なのでしょうか。段階的としていますが、趣旨はどういったことでしょうか。
また、本改正により、年間の保険料の負担は労使双方合わせてどの程度増えるのかも含め、お伺いしたいと思います。
14間間隆一郎厚生労働省年金局長
お答えいたします。
令和五年度末時点において年金月額が七万円未満の方、今委員御指摘になられたように老齢基礎年金満額相当という意味だと思いますが、老齢基礎年金のみの受給権者で申し上げると四百四十五万人でございます。また、老齢厚生年金の受給権者では八百七十七万人。要するに、老齢厚生年金受給者は八百七十七万人でございますが、今申し上げた八百七十七万人の中には、老齢基礎年金の支給開始年齢の六十五歳に到達する前に、報酬比例部分だけ受け取られる特別支給の老齢厚生年金の受給権者約百九十五万人のうちの相当数が含まれることには御留意が必要かと思っています。
その上で、…
この発言のページ
15
福田かおる(自民)
ありがとうございます。
重複のない公的年金の実受給権者数は四千万人くらいと承知していますが、お答えいただいた人数は、比較しても、かなり多いように思います。
年金と生活保護では目的や性質が異なるというのは理解しておりますが、仮に年金受給者の一割や二割の人が生活保護も受けているといった事態になったとき、年金制度は正しく機能していると言えるのでしょうか。こういったことには目配りをしなくていいのでしょうか。生活の安定が損なわれない水準の年金をもらえる状態かを、所得代替率で測ることはできないと思います。ほかの指標も要るのではないかと思いますが、いかがでしょうか…
この発言のページ
16
鰐淵洋子(公明)厚生労働副大臣
お答え申し上げます。
改めて、生活保護と年金の関係につきまして御説明をさせていただきたいと思いますが、生活保護は、年金を含めた収入や資産、働く能力など、あらゆるものを活用した上でもなお生活に困窮する方を対象に、最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットとなっております。
一方、老齢基礎年金は、現役時代に構築した生活基盤や貯蓄等を合わせて、老後に一定の水準の生活を可能にするという考え方で設計されておりまして、収入や資産にかかわらず、保険料の納付実績に応じた給付が権利として保障されるものでございます。
このように、それぞれ役割や仕組みが異なりますの…
この発言のページ
- (上の発言)
17
福田かおる(自民)
ありがとうございます。
所得代替率は、結局、年金制度の財政状況を測る指標であって、年金受給者の生活状況を表す指標としては十分ではないと思っております。また、所得代替率の土台となっている高齢者世帯のモデルは、サラリーマンと専業主婦が四十年間連れ添っているという内容で、標準的なモデルとは既に言い難い状況になっているかと思います。
生活者の視点から見れば、私たちは幾ら年金が必ずもらえるのか、自分で幾ら積み立てておかなければいけないのかという、老後の設計のベースラインとなる公的年金からの約束、これがない状況だと思っています。具体的に目指しているベースラインの年金水準なしに、高い低いという評価をし、制度改正を行うことができるのか、極めて疑問に思っています。
給付額が将来的に全員高くなるように改正すれば、少なくとも今よりよくなるだろうというのは、とても乱暴だと思います。制度の裏には、働いている人たちの負担、企業の負担、高齢者の方々も含めて、消費税なども財源とした国庫の負担、本当に多くの負担があります。だから、給付額が高くなればなるほどいいというものではないのがこの制度ではないでしょうか。この点は強く申し上げたいと思います。
一方、低過ぎて生活の安定が阻害される人たちが多く出てはいけません。私は、生活扶助の基準額は、一つの参考にはなると思っています。昨日の参考人質疑でも、生活保護費も含めた社会保障給付費全体での判断が必要ではないかといった御指摘もございました。生活の安定を損なわないボトムラインの給付水準という観点から、制度を評価する指標を検討いただきたいと思います。
今回の制度改正でできることは早急に実行しつつも、幾つかの年金制度の取り得る改正のシナリオごとの分析、給付される年金と生活コストとの比較、そして必要になり得る生活保護の国家歳出の見立ても含め、既存の年金制度の枠組みにとどまらない分析に早急に着手していただきたいと思います。先ほど副大臣からも御言及いただきましたが、財政検証では新たな取組もできると承知しています。どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、冒頭申し上げた二つ目、負担が過度なものになっていないのかについて議論させていただければと思います。
年金制度は、適切な水準の給付がなされているのかということと、過度な負担になっていないかということ、この二つを同時に実現するところに難しさがあると思っています。
先週、実質賃金の発表があり、本委員会でも話題となっておりましたが、三年連続のマイナスとなってしまいました。実質賃金は伸びていない、過去の委員会で私自身の質疑でも確認させていただいておりますが、若い方々の経済状況は大変に厳しいものがあります。そんな中で、日本経済を支えてきた大企業における整理解雇のニュースも出てまいりました。先行きの不透明さに拍車をかけています。
目下、こうした経済状況の中、負担を増やす改正が適切であるのか、給付の増加をすることが適切なのか。適用拡大については多くの方々が議論してくださっているので、今日は、まずは、標準報酬月額の引上げ、そして在職老齢年金の見直しから確認させていただきたいと思います。
まずは、標準報酬月額の引上げについてです。
納めるべき保険料を決める基準、標準報酬月額、現在、この標準報酬月額の上限は六十五万円となっています。すなわち、月に七十万円稼いだとしても、百万円稼いだとしても、支払う保険料は同じになっているということです。今回、この上限額を六十五万円から七十五万円に段階的に引き上げ、負担いただく保険料を増やす案になっております。
先ほど、実質賃金の状況についても言及させていただきました。現下の経済状況を踏まえ、保険料を引き上げるとしたことは適切なのでしょうか。段階的としていますが、趣旨はどういったことでしょうか。
また、本改正により、年間の保険料の負担は労使双方合わせてどの程度増えるのかも含め、お伺いしたいと思います。
18間間隆一郎厚生労働省年金局長
お答えいたします。
厚生年金の標準報酬月額につきましては、男性では、最高等級である六十五万円に該当する方が全ての報酬等級の中で一番多くなっておりまして、こうした方々は、今委員からも御指摘がありましたように、実際の賃金に占める保険料の割合を考慮すると、他の被保険者よりも低い負担水準となっています。
今後も賃金の継続が見込まれる中で、こうした方々につきましても、世代内の公平を図る観点から、負担能力に応じた負担をお願いし、また、これにより、御本人の年金水準が向上することはもちろん、所得再分配機能が働き、年金額の低い方も含めて、厚生年金制度全体の給付水準を向…
この発言のページ
19
福田かおる(自民)
ありがとうございます。
月六十五万円というのは、都心部においては決して高所得ではないケースもあるように思っています。実質賃金が上がらない、子供を育てている、子供には習い事も通わせてあげたい、切り詰めている、こんな方もいらっしゃるかと思います。
本来の賃金に応じた御負担や世代内の公平、先ほども言及いただきましたが、こういったことも言われております。年金は助け合いの制度であり、高所得の方々に所得保障、再分配機能の強化にお力をいただくということは理解できます。一方、そうであるならば、上限が七十五万円でいいのかという疑問も生じます。健康保険の場合は、月百三十…
この発言のページ
20間間隆一郎厚生労働省年金局長
お答えいたします。
更なる引上げについてどう考えるかということでしたけれども、今回の上限見直しの考え方を改めて申し上げますと、収入のある方にかかる厚生年金の実効的な負担率が、本来の保険料率である一八・三%に比べて、上限に該当する方が結果的に低い水準となっております。こうした上限に該当する方が男性では一〇%弱、男女平均でも六%強程度おられることから、世代内の公平の観点から一定の見直しが必要と考えております。
その上で、その先の話でございますけれども、今回、七十五万円に引き上げるということと併せて、今後の上限額の改定の一般的なルールとして、賃上げが進むこ…
この発言のページ