八代尚宏昭和女子大学特命教授

2025年5月27日・第217回国会 衆議院 厚生労働委員会 第21号(外部サイト、新しいタブで開きます) の 49 番目の発言(外部サイト、新しいタブで開きます)(全 107 発言)

御質問ありがとうございました。

おっしゃるように、支給開始年齢の引上げというのは物すごいポリティカルエネルギーが必要なわけです。だけれども、ほかの国は実現したわけなんですね。フランスでも、物すごいデモが起こりました。だけれども、マクロン大統領は、これはフランスの年金制度を守るために不可欠だということで、不退転の決意で実施したわけで、なぜそういうことが我が国だけできないのか。日本人のやはり常識というのをもっと政治は信頼すべきじゃないかということですね。

先ほど、国会討論、私も拝見していましたが、石破総理のおっしゃったことは基本的な形式論であって、保険料を固定する、支給開始年齢も固定する、だからあとは全部給付で調整する、その結果がこの三割の基礎年金の減額なわけで、そういう国民窮乏化というのは、どこまでみんなが分かっているか。これまで分かっていなかったのは、マクロスライドが動かなかったからであって、二十年間失敗したわけですね。それが何で今後うまくいくと思っておられるのかということです。

それで、今回の底上げ案というのも、余り今まで議論に出ていませんが、膨大な財政、一般会計からの財政の支援で実現しているわけですね、実際には。だから、厚生年金の報酬と基礎年金を入れ替えることで、基礎年金の方は補助金がつく、報酬比例は補助金がつかないから、そういう意味で、一般会計からの二・六兆円の負担を入れて初めてその効果があるわけで、これは平等な評価じゃないですよね。ほかの、四十年を四十五年にするとかというのは別に、年金制度の改革の問題。

だから、私は、今回の改革案というのは、本来、年金制度の改革でやるべきことを、財務省からなし崩し的に、財源をまさに流用してやったわけで、これは非常に卑劣なやり方だと思います。卑劣というか、非常に大変なやり方だと思います。

ですから、その前にやはり、第一号被保険者で、どんどん免除して半分の人が保険料を払わないということは、将来、国民年金を半分しかもらえない、まさに失業者予備軍、生活保護の予備軍になるわけですね。こういう問題を放置しておいて財政に依存するというのは、非常に私はいいやり方ではないと思います。

だからこそ、次期年金制度じゃなくて、今回なぜそれを議論しないのか。過去は議論していたんですよね。それで、六十歳から六十五歳まで年金支給開始年齢を上げるときも、国会で乱闘が起こったぐらいなんですよね。だけれども、過去のリーダーはそれをやったわけで、なぜ今できないのか。なぜ、どんどん先延ばしばかりするのか。

出生率はどんどん下がっている、財政は悪化している、そういう状況の下で、是非、今からでも遅くはない、今後一年かけて、ちゃんと真剣に年金財政の問題を考えるべきときが来ていると思います。国民窮乏化につながる年金減額制度はもうやめるべきだと思います。もちろん併用も可能ですけれども、それだけでやるというのはおかしい。支給開始年齢というほかの国ではできることが、なぜ日本だけできないのか、その理由を是非教えていただきたいと思います。

以上です。

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